死の謎を解き、生きる答えをみつける。
発売日 | 2022年5月12日 |
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プラットフォーム |
PS5/PS4/Switch/steam |
ジャンル |
ミステリアドベンチャー |
HP |
令和4(2022)年、春。
ミステリ小説家の河々見(かがみ)はるかは、
科学者の四十間(しじま)永司の依頼を受け、
編集者の山瀬明里とともに、
富士山麓にある永司の実家、四十間邸を訪れる。永司の依頼は、桜の下で見つかった白骨死体の
正体究明と、四十間邸に眠ると言われる“不老の果実”の捜索。大真面目に語る永司と、半信半疑のはるか。
そんなはるかに明里が一冊の古書を差し出す。そこに掲載されていたのは永司の先祖、四十間佳乃が書いた
“不老の果実”をめぐる、百年前のある物語。
それは小説の体裁をとった、実際に起こった殺人事件だという。古書を読み終え、事件の謎を解き明かしたのも束の間。
はるかの目の前で四十間家を揺るがす殺人事件が起きた…
発売日から連続プレイで本日エンディングまで無事読了。
全編実写映像による新本格ミステリということで結構楽しみにしていたのですが、開始冒頭からネタバレ禁止の圧がすごいのでそれに従ってサクっと短めに感想文でも。
【教えて #春ゆきてレトロチカ】
— 春ゆきてレトロチカ【公式】 (@retrotica_PR) February 12, 2022
Q.「マルチロール」とは何ですか?
A.一人のキャストが複数の役を演じることです。
物語の年代によってキャストには別の役を演じ分けていただいています。
劇中劇あるいは作中作に近しいです。
過去の事件を登場人物を「置き換えて」追体験する、マルチロールシステムによって各役者陣の複数パターンのコスプレや演技幅が堪能できるのは斬新で面白かった。
同じ人物を別の役者が演じていたり、役者が同一であることがちょっとしたミスリードとして効いていたりと、この辺りは非常に上手く作用していたなって。
俳優陣、取り分け主人公の桜庭ななみさんを始めとする女優陣の演技が輝きまくっていてこれについては本当に素晴らしかった。実写系ゲームの醍醐味、【遊べるドラマ】感はしっかりと堪能できるし、なんならゲームであることを忘れて普通にドラマ見ている心持ち。
ドラマパートの選択肢は攻略部分には関係がないものがほとんどだったのでプレイヤー自身で台詞を選んでドラマを演出しているかのような感覚も楽しめちゃいます。
敢えて素っ頓狂な選択をすると、それに合わせふんわりコミカルな演出が差し込まれることもあるのでほっこり。主人公の焦り顔見たさにワザと間違えてしまうやーつ。
ドラマパート中で得た様々な『手がかり』を元に推理パートへ突入。
これはあくまでも主人公の思考の中での考察である、というのがメタ的な演出で表現されているのが楽しい。
『謎』に対しての手がかりをパズルのように組み合わせることで『仮説』を完成させ、その仮説を元に謎の解明を目指していくのだけど、仮説についてはパネルの図柄を合わせるだけで作成することができるのでとても簡単。
ただし謎に対して仮説の量が多く、事件解明には不要なものや斜め上な見当違いのものも存在。
操作も右スティックのカーソル移動でひとつずつパネルを持ち上げる必要があり、抗えない作業感。移動判定の幅がやや狭いので若干ストレスを感じる瞬間も。
また解明パートは再びドラマ仕立てで構成、会話の流れに沿って選出された仮説から正しいものを選ぶことでドラマが進行し、犯人特定へ。
新本格ミステリと銘打ってはあるものの、プレイヤーのミステリースキルはあまり必要ありません。
ヒント機能も充実。選択ミスは強制ENDとなるもののリトライで即該当の選択まで巻き戻せるので最悪総当りでも簡単に攻略できてしまう。
軸となるストーリーについてはかなり壮大で演技の力も相まって感情も揺さぶられたのだけれど、各章を単作ミステリとして見た場合はやや王道で見覚えのある展開や漫画的トリックが多く若干の物足りなさも。
推理成功でベラベラ自白始める犯人はドラマ感全開で好き。時代背景丸無視した科学考証前提の追及はうーん。考えすぎないくらいがちょうどいい。
ただ、解決した事件に残る細かな違和感が余すところなく伏線となって回収されていくラストは大変爽快でした。トータル良シナリオ。意外性の薄さと暴論は演技力でカバー!
前述したマルチロールが非常によい推理エッセンスにもなってくれていました。
これ以上書くとすでにネタバレになるのかもしれないけれど、【死】と【不死】についての扱いや展開はとても良かった。
ストーリークリアまでのプレイ時間は13時間ほど。
トロフィーについては1周で全て取得可能ではあるものの、時限要素が多く含まれているため注意が必要。
各チャプターでの具体的な収集数が簡単に確認できる作りではないのではないので、ひとつ取りこぼすと手探りで周回することに。
とくに『手がかり』については画面に表示されたタイミングで△ボタンを押さないと手動取得が出来ず、取りこぼすと自動で取得されてしまうので取得の有無がかなり分かりづらい。ゲーム上ではその仕様についての説明も特にないのでやや不親切な印象。
個人的に仮説と手がかりのトロフィーを取りこぼした状態でクリアしてしまい半日かけてやり直す羽目に。仮説パートはどんなに素早く進行しても30分前後かかるのでひたすら眠気に襲われてました…。
演出や魅せ方がお洒落な反面、周回向きのゲームデザインではないんですよね…。
システム面で残念な部分がやや多いけれど、実写系アドベンチャーゲームの良さや実写でしか出来ない仕掛けも多分に含まれていて面白かったです。
ドラマ成分がかなり濃いので、所謂428っぽいアドベンチャーを期待すると大分イメージが違うとは思うけれど、【遊べるドラマ】としては非常に純度の高い秀作でした。BGMも素敵。
ぶっちゃけ途中まで「頼む面白くなってくれ~!」と祈りながらプレイしていたのは認めるし、箝口令無視してツッコミたい部分は超大量にあるんですけどね。
最終的には演技力に引っ張られて評価爆上げせざるを得ない罠。俳優ってやっぱりすごい。
ともあれ久々に実写ゲームで遊べて満足。
コスト面やリスク的にもなかなか難しい部分も多いのだろうけれど、単純に好きなんですよね実写ゲー。この文化を継承してくれてありがとうの気持ち。
論理の路は繋がりました!
ストーリーについて一切語れない手前、ここが良かった~とかあの展開が~~なんて面白ポイントも等しく挙げられないジレンマ。四十間三兄弟かわいい(ネタバレ)。
あとクリア後の感想みてたら『終章』の存在に気付いて無い人が一定数居そうな雰囲気。オシャレUIの弊害かな・・・